英国の庭から~海外生活ブログです

オランダで還暦を迎えた駐妻。英国での5年弱、2度目の駐在生活を終え、オランダ生活も3年を過ぎてしまいました。けたところでロックダウン入り。できる範囲で何をしようかと模索中。

EU離脱合意案の議会採決が延期(ブレグジット その8)

英国のEU離脱合意案の承認を問う下院での採決は、12月11日に予定されていたのですが、前日10日の15時半にメイ首相が下院で声明を出す形で延期となりました。

 

北アイルランドの国境に関する条項への懸念から、大差での否決となる可能性が高まったためと、首相自身が説明しました。与党保守党から100人という大量の反対が出そうだったようです。実際の投票で否決されるよりもダメージが少ないという判断でしょうが、敗北を認めたわけですから、進退問題を問われても仕方がない状況です。

 

メイ首相は再投票の期日については明確にせず、1月21日までが期限だと答えたようです。それまでにEU各国の閣僚やEU首脳と直接面談し、再交渉を申し入れるつもりのようです。しかし、EU側は協定案の再交渉には応じないことを明確にしていますので、政治宣言の字面を若干修正する程度のことしかできないと思います。これでは、再投票になっても議会承認は難しいでしょう。

 

ノーディールの可能性は刻々と高まっていまして、今日もメイ首相はノーディールに向けた作業を強化しろと閣内に申し渡したようです。

 

とはいえ、英国は「どこかのならず者国家とは違う」と自負していますので、ノーディールを避けるべく最大限の努力はするのではないでしょうか。そのための抜け道を探しに行くのがEU歴訪の真の目的ではないかと思いますが・・

 

もう一つ、メイ首相が議会に対して、「この議会は、ブレグジットを実行する気はあるのか」と、問いただしたところ、スコットランド国民党(SNP)以外は明確な返事をせず、曖昧な呻きが上がっただけだったのが印象的です(SNPは離脱反対です)。国民投票での離脱多数という結果に基づき政府や政治家たちは離脱に邁進してきた訳ですが、民意がもはやどこにあるかもわからない状況です。

 

ともあれ予想通り、いっそう混沌としてきました。

 

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ブルームバーグより。ポンドが大幅に下落。